京都リトグラフ

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版画家である施主が倉庫兼工房として使用していた建物の改修プロジェクト。
機械を工程順に「整頓」し、版画教室や講座なども開ける「みんなが使える場」とすることが求められ、リトグラフの制作工程を踏まえながら、特徴のある立地における「街に対するこの建物のふるまい」を念頭に、建築内外を一体に整理した設計を行いました。

−計画対象や不動産的な価値ではなく、体験するもの、として敷地を取り扱う。
前庭以外の3方は空地を取らずに敷地境界線をトレースするように建つ建物。窓が少ない既存の状態から、今回新たな開口を設けることによって、「建物」を媒体としてこの敷地を囲う空間をそのまま、もしくはより強く体験することができるものとなりました。

−内部性を薄める。
骨と皮でできた内部空間を閉じないように’内部性’のようなものを薄めていき、周辺/外の世界とが連続する、関連するといった建物のに事情的な体験を通して得られるよう、試みました。開口部を設けるといった視覚的な連続のほか、周辺の街並みからも見出される「奥があかるい通路」を作ったり、隣家にある鉄製のベランダと呼応する本建築構造のcチャン、線路へ関係性を開くことなど、それらが内部性を薄めることと繋がると考えています。

−室外空間への連続。
外での作業を効率良く行えるように、設備機器や道具棚の配置するなど、敷地全体を建物として捉え、外部へと続く軒下空間のもつポテンシャルを生かすように小さな整理を重ねました。小さな整理の重なりが室内の工房空間が外部へとあぶれ出して見え、前庭の駐車場所や畑、通り道、といった日常の振る舞いと地表面の微細な変化とがつながっています。

−改修の履歴を残す。
建物の改修跡を残すことで、元からあったものという版画工房の計画とは全然関係なかったものを用いて「つなぐことと分けることの距離感を調整するための空間構成のツール」として引き受けるという方法を試みました。

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